しなやかな知恵

先日のブログで「両親が厳しかったから漫画を買うことはなかった」と書いた。そのあとで思い返してみると、確かに家には漫画はなかったが、私はそれなりには漫画を読んできている。「ベルサイユの薔薇」も「ガラスの仮面」も「生徒諸君!」も読んだ。「らんま1/2」や「ときめきトィナイト」や、その後も人との会話には全く困らないくらい結構いろいろと読んできたし、その話題で盛り上がってきた。

そういえばその昔、バンコクのホテルで従業員の女性と「生徒諸君!」の話に花が咲いたことがある。(タイでは「ナッキー」というタイトルだった)そんなことまで思い出した。

ところで、私はそれらの漫画をいったいどうやって読んできたのか、全く記憶にない。けれども子どもというのはよくしたもので、そういう知恵は何とか自分で身につけていくものらしい。

桂が保育園にいたとき、彼はお昼寝の時間が嫌いだった。そのことを家に帰る度に私に訴えていたのだが、ある日を境に文句を言わなくなった。理由を聞いてみると

「えっとね、先生と反対の方を見ていれば目をあけていてもだいじょうぶなんだよ。すごい?」

それは確かにごまかし以外の何ものでもないのだけれど、私は泣きべそをかいていた桂が彼なりの「生きる知恵」を発揮して何とか状況を打開しようとしているのがとてもたくましく感じられた。頼もしかった。ああ、この子は一人で生きていかれる人間になるなぁ、きっと。そう思った。

親バカだなぁ・・。しかし本当にバカになれるのは親しかしないと思っているので、こういうとき私は根っからのバカになる。

そして現在、私は相当口うるさい母親だと自覚しているが、一方でそれをかいくぐって自らの人生をつかんでいく彼を見ることを結構楽しいと感じている自分もいるのだ。
by m_alchemia | 2005-05-06 23:42 | 日々の想い