新しい価値の創造

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シンガポールに行ってきました。目当てはアートサイエンス・ミュージアムで常設展を行なっているチームラボの「FUTURE WORLD」です。上の写真のマリーナベイ・サンズの敷地内にあります。

チームラボのデジタルアートは特に海外では非常に評価が高いとのことですが、以前チームラボ代表の猪子寿之氏が対談の中で、「アートとサイエンスを組み合わせることで、人類の世界の見え方を変えたい」と話していたことに興味をもち、直接体験してみたくなりました。

彼らの作品は絵画のような物質ではなくデータのみです。例えば絵画ならオークションで値がつきますが、形のないデータをアートとして、世の中で価値のあるものにしていけるかどうか。そういった価値創造の側面のある新しい形の展示でもあります。


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人が触ると色や形が変わって目の前に世界が次々と展開していきます。こどもたちが滑り台をすべるとカラフルな花が咲いたり、クレヨンで色を塗ったトラックをスキャンすると、自分の描いたトラックがスクリーンの中を走ります。まさに「自分の想いで世界が創れる」のアート版といってよいと思います。

価値があるのは物質のみという従来の価値基準を変えられれば、物が実在するかどうかは重要ではなくなる。その延長として美の基準を変えると人間の行動すべてが変わる。美しいものを求める人間の力が経済も政治も変えていく。対談ではそのように話をしていました。

私個人としてはデジタルな世界はあまり居心地がよいとはいえないのですけれど、チームラボが「物質でないものに価値をおく世界を創造する」という試みをスピリチュアルといった観点ではなくデータで行なおうとしていることに面白さを感じました。



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また建国50年のシンガポールが彼らの考えに一定の理解を示しているというのは、なるほどと思いましたし、彼らの展示はシンガポールという国によく似合っていると思います。私たち日本人は古くからある国に生まれ住んでいますから、どこかで国の歴史とは長いのが当たり前と感じている部分があり、新しいものよりも伝統を重んじたいのかもしれません。その意味でシンガポールという若い国での展示はマリーナベイ・サンズの驚くような外観とマッチしてなかなか刺激的でした。

歴史や文化を大事にしつつも、新しいものや新しい価値に対して積極的にハートを開き、未来に対して興味を持ち、感性を磨こうという姿勢を持っていることは大切だと改めて感じました。そして、その場に行かないとわからない空気感を味わいに行くことができたのが何よりよかったです。


by m_alchemia | 2018-06-01 16:46 | 日々のこと