短所を活かす

d0011725_21293547.jpg桂がバイオリンを習い始めてから4ヶ月が過ぎた。自分から言い出したこともあって、放り出さずに練習を続けている。教室の先生に最初のうちは一緒に来てくださいと言われ私は初回からそのレッスンにつきあっていた。

基本的に先生は叱ることはしないが、褒めることもない。ただ、気がついたことを丁寧に直してその場で何回か本人にやらせてくれる。

そのレッスンに3回、4回と通い始めるうち桂は途中で気分が悪くなるようになった。私はその様子に気づかないふりをして黙っていたが、先日のレッスンの最中にもうこの辺が限界かな、と判断して桂に声をかけた。

「大丈夫よ、桂くん。すっごく上手に弾けてるなぁって思って聴いているから、安心して弾いていいのよ」

とたんに、桂は堰をきったように泣き出した。泣き出したらもうとまらなくなってしまって、しゃべることもできなくなってしまった。その日のレッスンはそこでおしまいになった。

ようやく口がきけるようになった桂は言った。
「僕はバイオリンを弾くのは好きなんだけど、年上の人が二人も目の前にいるとすごく緊張しちゃうんだ」
・・・普通、母親をつかまえて「年上の人」とは言わないんじゃないの?

「そうなんだ。じゃあ、今度からは一人でレッスンに行く?そうしたら先生と二人きりだから緊張しないでしょ?」

やっぱりという感があった。どちらの親に似たのか、彼のプライドの高さと負けず嫌いは相当なもので、レッスン中に人前で(私の前で)注意をうけるということが耐えられない屈辱と感じたのだろう。

このプライドの高さと負けず嫌いは彼のネックなのだ。でもそれをなんとか自分で上手にコントロールしていく方法を彼には身につけていってほしいと願っている。その努力の限界が今回だったのだ。それでもずいぶんがんばってたよ、桂くん。。

「短所とは長所がちょっと行き過ぎたものをいう」ときいた。誰にでも共感できる人は優柔不断だったりする。自立の精神が強い人は人の意見が聞けなかったりする。

それゆえ「短所は押さえ込むものではなく、逆手にとって活かすもの」だと思っている。短所をエレガントなものにまで昇華することができたら・・・、そんなことを考えている。

桂はこのやっかいなプライドの高さと負けず嫌いをどこまで洗練された個性にできるのか。そしてそれを導いていく役目を私も母親として負っているのだけれども。私にも短所があるだけに、ああ、道のりは長い・・
by m_alchemia | 2005-05-19 22:52 | 日々の想い