ギターのリペアマン

この1年ほどギターの調子が悪かったので、思い切ってみていただこうと思いギターの修理をしている人のところへ出向いた。つい2,3日前のことだ。西武新宿線の小平というところまで片道2時間半かかったが、小春日和というよりは少々暑いほどのお天気もあってちょっとした小旅行気分だった。

結果からいうとギターには何の不具合もなく、単に私の技量の問題ということになった。まあ、よかった。ちょっとほっとした。(調子が悪いといって観てもらいに行き、なんでもありませんよと言われたのはこの一ヶ月の間で3度目だ。歯医者、目医者、そして今回である。このシンクロにはきっと何か意味があるのだろう・・・。取り越し苦労な性分はきっとミムラス。笑)

「ところでこのギター弾いていて疲れませんか?」

私は他のギターを手に取ったことがあまりないので、自分のギターが弾きにくいのかどうかちょっと分からなかった。

ギターのリペア一筋で30年もやっているOさんの作業場は床にはもちろん、壁にもたくさんのギターがかけられていた。貸してもらったギターはどれも、え~!っとビックリするほど弾きやすい。

どれも安いギターですよ。それなんて、30年前に加工して30年間弦の張替えもしてないし(笑)・・何で?どうして??プロの人たちもOさんのもとにはよく訪れるそうだが、皆自分に弾きやすいかたちにギターを加工するのだという。

「だからここには壊れたから治すギターだけじゃなくて、新品のギターを弾き手にあわせて加工するために並べてあるものもたくさんあるんですよ」

本当にそこに並んでいるギターは何時間弾いていても疲れないだろうなぁと思われるギターばかりだった。

私はこれまでギターに自分を合わせなければならないとずっと思って弾いてきた。弾きにくくてもそれは私の未熟さのせいであって、だからこそそのために練習をしてきたのだけれど、Oさんはそうする必要はないという。

確かにこのギターだったら初心者がFのコードが押さえられずに挫折するということもないだろう・・

「いろいろな考え方があると思うけれど、僕は演奏者に合わせて、ギターの方を修正すればいいと思っているんです。その人が演奏しやすいように、何時間でも疲れずに弾けるように加工する。それが私の仕事です。ネックが太ければ削る。薄ければ厚みをつける。反ったらまっすぐにすればいいし、極端な話折れちゃったらまたつなげばいいことです。だから必要以上に扱いをこわがることも何もないんですよ。」

私は日ごろ楽器をあまり丁寧に扱う方ではないので、もしかしたらそのせいで調子を狂わせてしまったのかしら・・と思っていたので、扱いを怖がる必要なんてないといわれたことで本当に気持ちが楽になった。

考えてみると、ギターに限らず私はいつも状況の方に自分をあわせなければいけないと思って生きてきた。自分にあわせて状況を「加工する」という発想を持ち合わせていなかったように思う。プロの側面をみせてもらったように思った。

今回の小さな旅にはとても大きな発見があって、今ちょっと新鮮な気持ちである。
by m_alchemia | 2006-11-12 20:37 | 日々の想い