工芸の魅力

美大を出て、趣味で機織をしているMさん。
芸術と工芸とのはざまで自分の心が本当に求めている形を探しています。

「工芸って芸術と違って制約が多い分、無心になれる。禅の境地に近いものがあると思うんです。

絵を描いていたときはキャンバスと筆の方が自由に自分を表現できるように思っていた。でも何でも自由にやっていいとなると、かえって自分のエゴ的なものやこれまでに学んできたテクニックにこだわってしまって思いのほか本当の自分の心の内を素直に描くのにエネルギーがいるんです。

ところが機織りのような工芸は自分の個性を出す前に、まず技術的なものに熟達するのにとても時間がかかるんですね。型をマスターすることだけを忠実に求められる。

それはとても窮屈な世界のように思いますが、自分を出そうと思っていないからこそそのときの心の状態がひとつひとつの作品にあらわれてくるんです。だから面白いですよ。自分が織ったものを見ていると、自分がどんな気持ちで織っていたのか本当によくわかるんです。」

制約が多いからこそ、自分らしさが素直ににじみ出る。

どちらの世界も体験しているMさんの口から出る言葉にああ、そういうものかもしれないと何かか私の心に触れました。

機を織ってみたいというのは前々からの夢です。
機が織れるようになりたいのではなく、体験してみたい。
その感触を味わってみたかったんだと言うことを久しぶりに思い出しました。
by m_alchemia | 2005-11-07 21:04 | 日々の想い