字の持つちから

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宮部みゆきの「桜ほうさら」。久しぶりの小説です。主人公は代書屋という仕事をしています。原書を見ながら貸本のための本を写す仕事です。昨年「夜の写本師」という本(これもなかなか面白かったです♪)を読みましたが、物語がどのような字で書かれているのか、それは本来、内容に少なからず影響を与えているものに違いないということを考えました。

当たり前のように活字となっているものを読み、自身もキーボードで文字を「打つ」ようになって、どんな文字を「書く」かということについてあまり深く考えなくなっていたような気がします。優しい字、強い字、小さい字、乱れた字、癖のある字・・

ノーベル賞作家のル・クレジオ氏が講演で「私はインクを使って紙の上に書くのが好きです。書家ではないけれど、はっきり読める字を書くようには気を使っています」と語ったというのを知って、ル・クレジオ氏は自分で書くという作業でしか生まれないものを体験として知っている人なのかもしれないと思いました。

同時にル・クレジオ氏は「読んだ後で自分が変わったと思うのなら、その小説には力がある」とも言っています。このところノンフィクションばかりでどうしても後回しになってしまう小説ですが、大きな余韻を残すものは小説の方が大きいな、と思うこともあります。今回の「桜ほうさら」はそんな小説でした。
by m_alchemia | 2014-01-22 18:41 | 日々の想い