曽根崎の紅

「フラメンコ曽根崎心中」を観に鎌倉芸術館へ行ってまいりました。
プロデュースは阿木燿子さん、音楽監修は宇崎竜童さんがなさっているもので、昨年本場スペインで絶賛されたとTVで知って以来、その舞台をこの目で見てみたいとずっと思っていたのです。

フラメンコはもともと歌詞の内容にあわせて踊りこんでいくものですが、普通はスペイン語なのでそれがよく分かりません。けれどもこの舞台ではカンテ(歌)を日本語で歌うという試みを行っていたためにバイレ(踊り手)がどのように感情を込めて踊っているのかがとてもよく伝わってきました。

私は心中場面で遊女お初に感情移入してしまいまして、思わず涙がこぼれたのをきっかけにどうにもこうにもとまらなくなってしまい困りました。最後は感動の涙に変わり、会場中がスタンディングオべーションの嵐という中で幕が閉じられました。

踊りはもちろんのこと、舞台構成、音楽ともすばらしく、とくに使われていた紅が本当に素晴らしい色でした。日本的な艶っぽさと情愛が伝わる品のいい色使いで、それがこの作品の質の良さをより引き上げているようにも感じました。

この作品がスペインで絶賛されたもっとも大きな部分はスペインのフラメンコに媚びることのない作り手たちの志と、演奏者、踊り手、舞台技術その他の方々の一歩も引かない完璧とも言うべき熱意を全うしていたことにあるように思います。

今もまだ思い出すと涙がでそうなほどに感動の余韻にひたっております。
来年も公演があったら今度は彼と二人で観に行こうと思っています。
by m_alchemia | 2005-09-11 12:30 | 日々の想い