揺るがないもの

d0011725_21391997.jpg新穂高へ行った帰りに松本城を見に立ち寄った。今回は初めて天守へ上ったのだが、そのもっとも高いところに二十六夜神という神様が奉られていることに気づいた。

毎月26日にお餅をついて、それを藩士全員に配ること。それを続ければ安泰が保障されるという夢によるご神託がそのきっかけであったという。

感心したのはその夢に基づいて天守閣にお社をつくり、毎月26日のこの行事を明治維新になるまで欠かさずに続けていたという事実だった。

こういったことは他の城でもあったことなのかよくは分からない。しかし100年以上にわたって夢によるお告げが守られ、その通りに毎月神を奉り、藩士たちに餅を配り続けるといった行為はゆるぎない信仰心と大きな権力があったからこそできたことだ。今の日本にはそのような信仰心も絶大な権力も存在しなくなった分、伝統的な何かを守り続ける力もまた失ってきたように感じる。

目に見えないものは信頼に足らず、権力は悪で、平等をよしとする安易な考え方が歓迎される中、父性的な力が果たす役割をどのように捉えていけばよいものなのだろう。母性的な力でなければ守れないものもある。父性的な力でなければ崩れていってしまうものある。

戦国時代より築かれた城は100以上あったものの、今天守閣が残されているものは姫路城など僅かしか存在しない。松本城はそのご神託を守り抜いたおかげか今もその美しい姿を残している。
by m_alchemia | 2005-08-27 22:13 | 日々の想い