帽子

母と横浜の元町で待ち合わせをする。
母のお目当ては帽子屋さん。元町商店街のはずれの方にある。母はいつも帽子はここで買うと決めている。婦人ものも紳士ものもあって、私は母がいろいろな帽子を試着しているのをながめながら両サイドに陳列された帽子を眺めて、これはどんな人がかぶるのかしらと考えているのが好きである。

地味なお店なのだけれども、結構いろいろなお客さんが入ってきて帽子を買う。その試着している姿を眺めているのもとても楽しい。帽子をかぶるとこれほど人の印象が変わるのかと思う。帽子のおしゃれを楽しめる人は本当のおしゃれを知っている人なのかもしれない。

「お母さんはいつからこのお店で帽子を買っているの?」

「(洋裁学校で)勤めていたときに、そこの院長先生がいつも帽子をかぶっている人でその先生が必ずここで帽子を買っていたの。私はよくお供でついて来てたの」

「それは何歳くらいの時?」

「そうね。。。20歳くらいかしら」

ふ~ん。ということはつまり50年前からということになる。母はこのお店にしかピッタリのサイズがないからというけれども、母にとってこのお店は一つの若かった頃の時代の象徴でもあるのだろうと思う。

そういうお店が消えずに存在していてくれる。元町とはそういうところだ。
そんな元町が母も私も好きである。

「ねぇ、あの帽子いいんじゃない?あなたに」と母が言う。

その視線の先にあったのは私がお店に入ったときから気になっていた帽子。私は帽子なんて買おうと思ったことが今まで一度もなかったけれど、今日は初めて帽子が気になった。買ってあげるという母に甘えて初めて自分用にそのお店で帽子を買った。(^^)

この先自分が母くらいの年になってその時にもこの帽子店があったなら、私にとっても特別な、つまり母を象徴する店となっていくだろう。前を通るたびに母が帽子を選んでいる姿を思い出すような大事な店になることだろうと思う。


*本日もお読みくださいましてありがとうございました♪
by m_alchemia | 2010-06-18 16:15 | 日々の想い