マグロ船の賢人

「会社人生で必要な智恵はすべてマグロ船で学んだ」(斎藤正明 著 マイコミ新書)を読んでいました。

会社の上司に言われてマグロ漁船に乗ることになった著者、斉藤さんと漁師たちとのやりとりを綴った本です。
まず会話が最高です。そしてその言葉になかなかの深みがあります。

たとえばこんな感じ。(^^)

著者:「マグロが捕れる日と、捕れない日で漁師のやる気は変わらないのですか?」

機関長:「あー?いいことが起きたら喜んで、嫌なことが起きたら暗くなる。それじゃ犬と同じじゃねーか。人間はの、感情をコントロールできるんど。」

「マグロが捕れんときこそ、感情をコントロールしぇんと人間だめなんど。斎藤はそげーなこともわからんのか?本当にバカじゃのう」

一度漁に出たら40日は陸に上がれない。男ばかりの世界で多いときは一日17時間の重労働になると書いてありました。機械が故障しても、病気になっても、怪我をしても全部自分たちで治す。何故なら、そのために一回寄港するとそれだけで100万円がとぶからだそうです。

すごい世界だなぁ、と思いました。
でも人間まで荒っぽいのかと思ったらそういうことではないようです。それが上記の会話の中でも見て取れます。

私がこの本を読んでいて、ナルホドと唸ってしまったのは他人からのアドバイスについての捉え方でした。

著者:「(人から)アドバイスをたくさんされると『余計なお世話』みたいに感じて、ちょっと腹が立つことってありませんか?」

船長:「斎藤。それはおまえが間違うちょる。人のアドバイスに期待しすぎるから、的がはずれたアドバイスに腹がたつんど。えーか、他人はみんな、わざわざこちらの立場に立ってアドバイスをしてくれるなんてことはないんじゃ。じゃから、ほとんどのアドバイスはアテになりよらん」

著者:「じゃあ、アドバイスをもらう意味は何なんですか?」

船長:「アドバイスは、こっちの立場に立って考えてくれないところに意味があるんど。じゃからたいていのアドバイスは的外れになるが、そのおかげで、たまに自分が気がついていなかった大事なことを教えてくれることがある。」

船長いわく、マンボウは1回に2億個の卵を産むといいます。そのうち大人になれるのはたったの2匹。マンボウ1匹が大人になるには、それだけ多くの犠牲になるマンボウが必要だというのです。

「役に立つアイデアもそれと同じじゃ。死んでいくアドバイスがあるから、1個の役立つアドバイスが生まれるんど。」


こういう理論はみな、海で生きる生活の中で培われてきたものなのだと思います。

人生における大事なことは、どこで生きていようが、その中で道を極めようとすることで掴んでいけるものなのだと実感しました。

何にせよ、これだけハードな日々を何十年も送り続けているマグロ船への見方が大きく変わりましたし、彼らから見れば、私の生活なんて楽なもんだという(^^;)、ちょっと変わった意味で気持ちを前向きにさせてくれる本でした。


*本日もお読みくださいましてありがとうございます。今週末はイシス学院で講師に入っております。タロットリーディングによるアドバイスは「的外れに」ならないように、こちらもまた道を極めるべく努力してまいりたいとおもっております。(^^)
by m_alchemia | 2009-08-22 21:10 | 日々の想い