奇跡の脳

d0011725_2163611.jpg ジル・ボルト・テイラー著「奇跡の脳」を読んでいます。

脳科学者であった著者が37歳で脳卒中になり、左脳の機能が麻痺したところから8年かけて「回復」した記録です。

自らの経験から右脳の機能と左脳の機能の違いと役割を分かりやすく解説しています。

非常に面白かったのは左脳の機能が麻痺したことによって、世界と体の境界線が分からなくなり、世界はひとつだという認識に至ったこと。また時間の認識ができなくなったことにより現在・過去・未来という区別がなくなって、今この瞬間しか存在しなくなったこと。分析・判断ができなくなったことにより他人と自分を比較したり、他人や自分を責めるということもなくなったということです。

左脳の言語中枢が麻痺することによって、頭のなかのおしゃべりがとまり、「人生の思い出から切り離され、神の恵みのような感覚に浸り、心がなごんで・・・意識は悟りの感覚、あるいは宇宙と融合して「ひとつになる」ところまで高まって」非常に心地がよかったとありました。

また左脳の機能が落ちたことによって、感覚が非常に敏感になっていることにも興味をもちました。音や光はもちろんですが、自分に優しくしてくれる人、心配をしてくれる人、エネルギーをくれる人、吸い取る人の感じが体の感覚ではっきりわかるということでした。

著者は8年の歳月をかけてリハビリをしていくのですが、左脳を回復させていくことが(左脳は分刻みのスケジュールをこなし、過去に学んだことに基づいて決断を下し、あらゆることを「正しい・間違っている」あるいは「良い・悪い」で判断をする。)本当に自分を幸せにするのかを考えています。

左脳が回復していく過程の中で、頭のなかのおしゃべりが復活してくる。それによって自分を落ち込ませるような考えが巡ったり、人を責めたりする言葉が現れてくるようになる。

そういう左脳の一部の機能を回復させないまま、社会的な生活が送れるような状態に戻るにはどうしたらいいのかということを真剣に考えている本でした。

8年かけて「回復」したとはいいますが、著者は見える世界が以前とは全く違った新しい自分をそこに発見しています。

私はこの本によって、深い瞑想状態とはこの左脳のおしゃべりを自分の意識でコントロールして黙らせること、つまり左脳の機能を静かにさせることによって自分が宇宙との一体感を感じられるようになることなのだと理解しました。

そしてもう一つ、たぶん赤ちゃんも同じような感覚にあるのかしらと思いました。
そうだとしたら、もう少し違った接し方ができたかもしれないなぁ、と。

看護、介護をされている方、精神世界に関心を持つ方、小さい子供と関わる状況にある方、いろいろな視点で読むことができる本だと思います。


*本日もお読みくださいましてありがとうございました。
by m_alchemia | 2009-08-18 21:50 | 日々の想い